トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


確かに、あの紅葉パックのせいで、さくらの顔が本物の紅葉以上に真っ赤に腫れたのならそうなってもしょうがないけれど、俺はまだその腫れた顔を見ていない。
昨日、様子を見にフリージアを訪れた時、鰺坂さんからの猛攻撃で初めてさくらの状況を知ったくらいだから。
でも、さくらは休んでいた。
病院へ行くといって。

この頭痛の原因は、多分、そのせいかもしれない。
紅葉の成分に悪いものはほとんどなかったし、俺はさくらの肌の事をそんなに深く考えていなかった。
そして、紅葉パックはお客様に喜ばれないものだと判断してあの場を立ち去った後の出来事を、俺は知るはずもない。
でも、さくらの顔は、相当、酷かったらしい。

「二宮さん、今日、高梨さん来てますか?」

二宮さんは、本の陳列の整理をしながら俺の方を向いて「はい」と答えた。


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