トライアングル的極上恋愛〜優しい沼に嵌ってもいいですか?〜


俺より年上の二宮さんはそれ以上は喋らない。
俺が聞かない限りは。
それに、さくらの事を何も考えていないわけではない。
逆に考え過ぎているから、こんな頭痛に見舞われている。
さくらの事は可愛いと思う。
あまり女性に対して可愛いという感情を抱いた事がない俺は、ある意味新鮮な気持ちで、彼女に興味を持った。
何て言うんだろう、さくらは言葉では言い表せられない不思議な魅力を持っている。
俺は部下の健康を気にする上司として、二宮さんに何となく聞いてみた。

「高梨さんの顔、どんな感じですか?
結構、腫れてます?」

二宮さんは困ったように肩をすくめた。
俺にどう言えばいいのか迷っている。

「う~ん、本当の事を言うと、かなり酷い感じです。
腫れはだいぶ引いたみたいで、でも、掻いちゃったのか触り過ぎたのか、かさぶたみたいなガサガサ感がまだ残ってて…」

二宮さんは俺に対して怯む事なくこう言った。

「年頃の女の子の顔には、致命的だな、と」


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