小さな願いのセレナーデ
番外編:兄と私と、先生と子供


日曜日のレッスンは、学期末考査に向けての追い込みだ。

一応この学期が終わると、三年生全員が進学に向けて本格的な準備に入る。
殆どが桐友学園大学にそのまま持ち上がるが、一応入試はあるので、その推薦入試に向けての曲の練習をしたり、私やごく少数の外部受験組は、入試に向けての勉強期間に入る。

だからまぁこの学期末考査は実質高校最後の考査で、これで高校の成績表が決定すると言ってもいい。
だから当然、それに向けたレッスンは厳しい。
特に私は、高校の先生に好かれていない自信があるから余計に力が入る。人一倍努力の跡を先生に認めてもらわなければいけないのだ。

まぁ晶葉先生は「ここはあの先生はそう弾くのを嫌うから…」という感じで、高校の先生個人の評価ポイントを押さえている指導をしてくれている。それは何だか抜け穴を教えてもらっているようで、少し楽しい。
だけど抜け穴の整理に頭が追い付かずに、終わった後はしばらく放心状態が続いてしまう。

何とか気を持ち直した頃には、夕食の時間になっていた。
日曜日は碧維も居るので、いつも六時ぐらいの早い時間に夕食を取っている。

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