小さな願いのセレナーデ


『ピピピピッ』


大きなアラーム音が響いて、私は目を覚ます。
目にしたのはカーテンから漏れる光と、床に散乱したらおもちゃ達。

(しまった、寝落ちしてたな……)

一度起きて片付けようと思ったが、見事に寝落ちして朝を迎えてしまった。


「碧維、起きて!」
私は隣で寝ている、碧維の肩を揺さぶって起こす。
だけどごろんと寝返りをうっただけで、目を開けようとしない。肩を何度揺すっても変わらない。

もう先に朝食の準備をしてしまおうか。
そう思って立ち上がった瞬間──「ふぇーん」と泣き声が上がる。
どうやら彼にはママセンサーが備わっているらしい。


泣く碧維を抱っこして、隣のリビングのテレビの前に座らせる。テレビを付けると朝の子供向け番組が始まり、ようやく少し泣き止んだ。

「もいも!」
好きなキャラクターが出てきて気を取られている間に、朝食の準備に取りかかる。と言ってもソーセージを茹でて、ミニトマトを切るだけ。後はスティックパンとバナナの簡単な朝食。

「碧維、食べようか」
「パンパン」

パンが大好きな碧維は、テーブルに並んだパン目掛けて一直線。椅子に座らせると真っ先にパンを掴み食べる。
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