小さな願いのセレナーデ
何か大輔さんからも言われるのかな……と思いきや、車内で二人は仕事の話ばかりしている。
結局私は一言も話さないまま、ユキさんとの合流地点の保育園の前まで来た。碧維とユキさんは、車から出てきた私を見つけると、大きく手を振った。

「先生、お疲れ様です」
「ユキさん、今日はありがとうございました」
「いえいえ、楽しかったですよ」

ユキさんは子供が居ないが、保育士の免許を持っているらしいと聞いた。
お陰で碧維もそこそこ懐いている。有難い話だ。


「ユキさん、送るから乗ってください」
昂志さんが助手席から降りて、私達の所に来る。

「あら、いいのに」
「あそこのインターから高速入るんで、ついでですよ」
「じゃぁお言葉に甘えます。じゃあね、碧維君」

碧維に手を振って、ユキさんは車に乗り込んでいく。碧維はユキさんに手を振るが、昂志さんを見つけると「コーシ」と昂志さんに向かって走っていった。

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