No rain,No rainbow
「…少し、眠っても、いいですか?」

明日からの頑張る活力が欲しいんです。あなたの膝の上で。

「もちろん、です」

区切って返した私の言葉は、ちゃんと優しく律さんに響いているだろうか?

優しさをいつも惜しみなく分けてくれる律さんの、癒やしや糧になりたい。

「ありがとう、ございます」

そっと目を閉じた律さん。

その髪に触れてみる。

柔らかな感触が気持ちよくて、ただただ律さんの髪を撫で続けた。

「…おそろしく、気持ちいいです」

ゆっくり目を開けた律さんは、私を仰ぎ見て緩やかに笑った。

そうしてまた、目を閉じて今度は、すーすーと寝息を立て始めた。


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