No rain,No rainbow
たくさんのキスを私に落とした律さんは、

「あとで何でも好きなもの食べさせますから、お昼抜きでもいいですか?」

切羽詰まった表情で私に聞く。

「私は大丈夫ですけど、律さんは大丈夫ですか?」

私の大丈夫ですか?に被せるように大丈夫です。言った律さんは、私の手を引いてもう、歩き出している。

連れてこられたのは、さっきのスタジオで。

そこに立ってください。

それだけ告げて、カメラ越しに私を見つめる。

そのまま、ゆっくりいちどシャッターを切った。

「笑って」

「…いや、そんなこと、突然言われても…」

「じゃあ、真っ直ぐ、オレだけ見てて…」

シャッターの音は、律さんのまばたきのようで。

恥ずかしいけれど、律さんが私を見つめ続けてくれる時間はこの上ないシアワセに、満ち満ちている。





< 139 / 551 >

この作品をシェア

pagetop