No rain,No rainbow
「メイクは…、あ、あとはもしかして口紅だけ?」

少し顔を傾げて、私に聞く。

そ、そうです。頷いたら、

「もしかして、オレとキスするつもりだったから、口紅まだだった?」

確信犯の問い。

「…あ、いや…まだ、お茶とか飲むかな…とか」

照れ隠しの私の返答は、

「本当に?」

顔をぐいと近づけて、私の鼻先に律さんの鼻が触れそうな距離で、聞くから、

「…ウソ…です」

もう、ウソなんかつけなくて。

「そう?」

一言囁いてまた、今度はくちびるに優しいキスを落とした。




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