No rain,No rainbow
「さっき律さんが、」

「うん?」

穏やかな声音が私を素直にさせる。

「私の写真は、誰にも撮らせないって言ってくれて、嬉しかったです」

…すごく、愛されてるみたい、で。

恥ずかしげもなくでた、自分自身の言葉にびっくりしている。

と…、

「それは違いますよ?」

律さんの口から出た否定の言葉に、凍りつく。

せんな私の表情をちら、と見た律さんは、

ふふふ。

どうしてそんなに不安そうな顔、してるの?

余裕の笑顔がまた、私を不安にさせる。

赤信号で停まった車。

このあたたかなはずの空気さえ、止まってしまいそうな、恐怖。


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