No rain,No rainbow
「…されてるみたい、じゃなくて」

静かにしゃべりだした、律さん。

「…え…?」

その穏やかな横顔に、問いかけた。

「もう、愛してますよ?あなたを」

ずるい…

この瞬間、律さんの横顔しか見られないなんて。

右手でハンドルを、操りながら、左手は私の手のひらを、握ってくれる。

流れ込んでくるのは、律さんのぬくい体温。

薬指の指輪は、街灯の明かりを受けて光っている。

この光は、私たちを照らしてくれる。

ずっとずっと、この光に導かれて、ゆっくりと律さんと歩こう。



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