No rain,No rainbow

いつものように、行きつけのスーパーに入って食材を選ぶ。

「今日は牛こまが安いですねぇ」

律さんの喜ぶ声がする。

「じゃあ、お祝いにすき焼きですね?」

ね?

笑い合いながら、他の食材も選んでかごに入れてゆく。

ふたりで飲むお酒も選ぶ。

「お祝いだから、今日は発泡酒じゃなくて生ですね」

律さんが好きな生ビールの銘柄を選んでカゴに入れる。

こうして色んなことが『日常』になっていくのは嬉しいな。

横を見たら、律さんも笑っていて。

「そっか、」

「うん?なあに?」

小さくつぶやいたのに、ちゃんとそれをすくい上げてくれる律さん。

「律さんはもう、私の旦那さま、なんだなって」

「うん。あなたももう、オレのかわいい奥さん、ですよ?」

顔を見合わせて笑いあう。

これが、当たり前になってゆく。


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