No rain,No rainbow
いつ出そうかと迷っていた。

ケーキを食べ終わって、ふと、話が途切れた瞬間。

「律さん」

部屋の隅の本棚の隙間に隠してあったものを取り出して、

お誕生日おめでとうございます。

言いながら、律さんに差し出した。

「…え…」

一瞬、戸惑った表情を浮かべた律さんは、見る間に笑顔になった。

大きな真四角の5センチほどの厚みの包装紙に包まれたものを受け取ってくれた。

「開けてもいい?」

頷いたわたしを確認して、ゆっくりと包み紙をはがしてゆく。

「…これ、は…」

出てきたものを見た律さんは、驚きの声をあげた。




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