No rain,No rainbow
「私が今、ずっと考えてたのは」

そこで言葉を切った私に、

「うん」

律さんは、ひとこと返して、続きをうながした。

「律さんのお父さんのお祝いだな、って。申し訳なかった。苦しまなくていいんだよ、って」

だって、こんなに優しい律さんのお父さんだから。

そして今日からは、私のお義父さんでもあるから。

「だから今度、律さんのお義父さんとお義母さんのお墓参りに連れて行ってください。私のお義父さんとお義母さんの」

びっくりした顔の律さんの目には、涙が浮かんでいる。

でもそれは、毎日、23時にみていた哀しい涙ではないことが分かる。











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