No rain,No rainbow
玄関で靴を履く。

なにもかも『ふたりで』が、嬉しい。

渡り廊下をぬけて、ふと、見上げた空。

「…わっ…!律さん!律さん!律さん!律さんっ!!」

「えっ?!なに?どうしたの?」

びっくりしている律さんに、

「あれ!!」

私が指差した青空、

「わ、すげー…」

言葉を失う律さん。

そこに架かる、大きな虹。

「…私たちへの、プレゼント、ですね」

「…オレ、あなたのそういうとこ、すげー好き、です」

素早く、私の頬にキスをした。




行ったことのない、暖かな土地のあたたかな、ことわざ。

雨が降らなければ、虹はかからない。

今までのつらかったことや、哀しかったこと。

たくさん泣いたことや痛かったことも。

虹が架かるための、雨だったのだと。

すべてが、あなたに出逢うための道のりだったのだと。

これは私と彼の、ひたすらに優しいストーリー。

『No rain, No rainbow』


ーEndー











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