ウソツキハート



と、急に緩んだあらたの腕。



「宜しければどうぞ。俺らもう、行くんで。」



と、それはそれはもう、いつものあらたからは想像も出来ないほど優しい声で。



ふん。他人には優しいんだ。



なんて思って、あたしはもうあらたと他人だとは思っていないことに気がついて。



嬉しい。恥ずかしい。



そんな気持ちでいっぱいに、なる。



「ほら。行くぞ。」



伸ばされたあらたの手を、照れ隠しのために俯きながら握れば。



ぐい。と引っ張り上げてくれた、暖かな右手。



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