ウソツキハート
「なんか、邪魔しちゃったみたいで、すみません。」
俯いたままのあたしの耳に届いたのは、もう二度と聞くことはないと思っていた声で。
ゆっくり顔を上げれば、彼と目があった。
一瞬驚いた顔をした彼。
繋がれたあらたとあたしの手をみて、にっこり笑った。
「ありがとう。」
あらたに向けて一言、そう言って。
…それは、どういう意味なの?
ベンチを空けてくれてありがとう。なの?
それとも、
あたしを引き受けてくれて、ありがとう。なの…?
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