ウソツキハート



そうと決まれば、着替えて出掛けよう。



クローゼットを開ければ、



「…あ…、」



思わず呟いたのは、白いワンピースが目に飛び込んできたから。



『似合う。』と言ってくれた時の表情や、オレンジ色のブランケット。



2人きりで見た、朝陽。



後ろから抱きしめてくれたぬくもり。



走馬燈のように、一気に記憶が蘇る。



目尻に少しだけ浮かんだ涙。



欠伸をしてごまかして。



今、あらたがここに居たらなんて言うだろう?



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