ウソツキハート



「ついてんじゃん。チョコレート。」



ずっと摘んでいたために、指先の熱で溶け出したチョコレートは、あたしの人差し指と親指をピンクに染めている。



「…――!!」



その瞬間、あたしの指を口に含んだあらた。



「…甘い。あんずみたいに、な。」



そんな囁きは、あたしを平常心じゃいられなくする。



音を立てながら、指を舐め続ける。



あたしの目を見ながら上目遣いで、官能的に。



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