ウソツキハート



「お安い御用で。」



微笑みながらあらたがくれたのは、優しく柔らかいキスで。



その温度はあたしを安心させる。



あらたの手のひらを、探した。



目を瞑ったまま、キスを受け取りながら。



もっともっと、あらたの体温が欲しくて。



手探りで探し当てた、あらたの大きな手。



そっと触れたら、思いのほか優しい温度にたじろいで、とっさに手を引けば。



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