エリート官僚は授かり妻を過保護に愛でる~お見合い夫婦の片恋蜜月~
「俺たち、もっと早く話し合うべきだったね。お互いに誤解して、勝手に不安になっていたんだね」
「ひと言聞けば、すぐに解決することだったのに。もし、それで関係が壊れたらって思ったら勇気が出なくて」
「うん、俺もそうなんだ。だって、芽衣子を失えない。芽衣子のいない生活をもう考えられないから」

見つめ合って、照れ笑いをして、それから俺たちはキスをした。優しく甘いキスだった。
正直に言えば、俺は芽衣子とこれだけくっつくのも久しぶりで身体が反応しそうだったのだけど、ここで下心だらけの夫とは思われたくなくてぐっとこらえた。やっと気持ちが通じ合った可愛い妻の前で煩悩まみれでいたくない。
芽衣子が恥ずかしそうにうつむく。

「駿太郎さん、あまり笑ってくれないから、私といてもつまらないかなって、最初のうちは心配していたんですよ。すぐに照れ屋なだけなんだってわかりましたけど」
「そうか、ごめん。俺、本当にそういうところ、気が利かなくて」
「でも、結婚して……その毎晩一緒に眠るようになって……すごく情熱的だっていうのも感じられたので」

ぼそぼそという芽衣子に、俺も頬が熱くなる。我慢しているのだ。そんな可愛いことを言って、煽らないでほしい。

「そ、そういう夜は……赤ちゃんが無事に出てきたら改めて、えっと頑張るから……」

我ながら変な誘いになってしまったのは動揺からだ。芽衣子が軽く吹きだして、赤い頬で笑った。

「もう、駿太郎さんったら」




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