もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

❖❖ドイツ


あれから一年が過ぎた。

その間······

伊織は、相馬の両親に
かなり叱られ
その上、子供達からは、
縁を切られる勢いで
責め立てられた。

両親にも子供達にも
何一つ言い返す事が
出来なかった。

紬は、俺以外
相馬の両親と子供達とは
連絡を取りあっている。
もちろん、高橋夫妻とも。

高橋からは、
【あなたと話す事はない。】
と、だけ。
健太さんからは、
【俺は、紬ちゃんの弁護人だから。】
と、言われた。

そうTV電話で話す
二人の顔は、とても辛そうで
そんな顔させているのは俺なんだ
と、改めて思い知らされた。

母も父も紬の人柄を好み
その上、離れて暮らす両親に
ひと月に一度は、
必ず連絡を入れ
誕生日や父の日、母の日
クリスマスには
必ず贈り物をしてくれていた
と、言われて
子供の俺が何もしない
考えてもいない事を
紬は、俺に何も言わずに
行ってくれていた。

俺は、紬の何を
見ていたんだろうか
紬の事なら
なんでもわかっているつもりでいた
自分が恥ずかしい。

雑貨屋のオープンまで
忙しい筈だが
紬は、俺に頼む事なく
亜希翔やカルロスが
手伝ったようだ。

カルロスから、
【俺にも休む権利がある。】
と、言われて理由も言わずに
休んだカルロス。

三日後に出社して来て
紬の店の写真をみせてきた。
【皮一枚で繋がる旦那より
役に立てたはず。
でも、日本語は、実に面白い。】
と、言われて
頭にも来るが、
その通りだから。

俺は、真っ白なバラの花だけを
アレンジメントしてもらい
送った。
白いバラは、< おめでとう >の
花言葉を持つ。

少しでも、ちょっとでも
喜んでくれたら嬉しいが·····

亜希翔から
紬が俺が送ったバラを
持って笑っている写真が
送られてきた。

情けないが涙が出るほど
嬉しかった。
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