もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

✩✩旭SIDE


引っ越しの費用と
毎月の家賃として半年分を先に
茜の口座に振り込んだ。

お金を動かすなら
紬に話さないと行けないが
今は、黙って動かすしかなかった。

紬がいなくなって
紬から、別れを言われるのではないか
と、毎日、毎日、落ち着かず
食欲も落ちた。

リビングは、ぐちゃぐちゃ
キッチンは、ゴミばかり
流しも汚い食器だらけ
食洗機に入れたら済むだけの
話しだが⋅⋅⋅⋅⋅⋅
それさえ、やる気にならない

職場の人間からも
どうしたのですか?
と、声をかけられる。

痩せているからか⋅⋅⋅⋅⋅
それもあるだろうけど·····

紬は、センスも良く
俺の身なりも気をつけてくれて
ワイシャツにはアイロンがかかり
ハンカチや靴下を
服にあわせて毎日用意してくれていた。

そんな俺が洗いっぱなしの
ヨレヨレの服を着ているからだろう。

奥さん、ぐわい悪いのですか?
と、心配する奴もいた。

結婚式に出席してくれた
奴らは、紬を知っているからだ。

そんな日々の中
紬からメールが届いた。
えっ、ええっ、焦りすぎて
携帯を落としてしまう⋅⋅⋅⋅ほど。

ドキドキしながら開くと
・母の入院
・入院している病院名
・母の着替えをとるのに母の家の
 カギをとったこと
・母から俺に知らせてくれと
 頼まれた事が書かれてあった。
義務的に。

直ぐに返事を返す。
連絡ありがとう。
病院に様子を見に行きます。
紬は、変わりないですか?と。

それに対しての返事はなかった。

俺は、その日
仕事の帰りに母の病院に寄った。

母は、俺を見て
驚いた顔をしてから
何があったのか
問いただしてきたが⋅⋅⋅⋅⋅

俺は、答えなかった。
なんて言えば良いのか
わからなかったから。

母の元に、紬は毎日来てくれて
いるようだ。
あんなに嫌な事を
沢山言った母に。

俺は、紬に申し訳ない気持ちで
いっぱいになった。
< 16 / 103 >

この作品をシェア

pagetop