もう⋅⋅解放⋅⋅して⋅⋅⋅下さい

✮✮紬SIDE


結月は、反対したが
alkuの休憩中に
佐川さんの自宅へ向かった。

葵君は、まだ食べれないから
佐川さんへお菓子を購入して行く。

佐川さんの住むマンションは
高層ではないが
モダンな建物だった。

7階と書いてあったから
入口で部屋番号を押すと
佐川さんから解除してもらい
エレベーターにのる。

玄関でブザーを押すと
ドアが開き佐川さんが
「いらっしゃい、紬さん。」
「こんにちわ、おじゃまします。」
と、中に入り、息をのむ

靴箱の位置が違うが
飾られているものも
壁紙も同じだ。
玄関の写真を見せたから?
そっくり?ちらりと写真見せただけなのに。
少し、怖くなる。

そのまま中に入ると
葵君が、ベビーラックに乗っていた
私を見るとニッコリする。
きっと、誰にでも愛想が良いのでは
ないかと思うが
やはり、可愛い。

廊下の飾りや寝室のベッドのカバーまで
同じで、なんだか変な感じだ。

佐川さんへ
持って来たお菓子を渡すと
一緒に食べようと
コーヒーをいれてくれた。

葵君の話をしていたら····
佐川さんが泣き出して
どうしたのか、訊ねると

佐川さんは、ご主人になる方と
籍を入れていないらしく
葵君が保育園に行く前に
籍をいれて名字を変えたいと
言ったら、急に切れて
電話を切られたらしい。
子供は、一人ではできないのよ。
なのに········と。

妻子がいる方?
何か問題のある方?
なんだろうかと思うが
口にする事は、出来なかった。

「部外者が言う事ではありませんが
もう一度、話あってみては
如何ですか?」
と、お伝えして
葵君の頭を撫でてから
alkuに戻った。


結月に話しながら
私も少し怖くなり
身震いをした。

みんな、それぞれの好みを考慮して
飾りをして楽しむと思う。

全く同じにする·····
なんて····
ありえないのでは··ないか······と。
< 36 / 103 >

この作品をシェア

pagetop