花吹雪~夜蝶恋愛録~
吐き捨てるように言われ、彩は膝からくずおれた。



「本当にバカな女だよ。ただ見た目しか取り柄のない人形のくせに。お前が最初から素直に俺にだけ媚びてりゃあ、あいつも殺されずに済んだのにな」


笑いながら、黒川は電話を切った。



「あぁああああああ!」


悲鳴なのか、絶叫なのか。


涙の一筋が頬を伝って地面に落ちる。

高槻が死んだという事実が、今更になって重く圧し掛かり、彩は胸が潰れてしまいそうだった。




これからどうやって、私は生きていけばいいだろう。

高槻さんを永遠に失ってしまった、この世界でなんて。




『黒川も、店も、今までの生活全部捨てて、俺とふたりで逃げないか?』


昨日の高槻が、彩の耳元でささやく。



『あみ。愛してるから、一緒に逃げて、俺と結婚してほしい』





高槻さん。

彩は心の中でその名を呼び、勢いよくベランダに出て手すりを乗り越えた。











END



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