ムボウビハート
heart×12.



 来客を告げるチャイムが、店内に鳴り響く。



カウンター内の掃除をしていたあたしは、顔をあげた。



その直前で、そのお客が知っている人だと気がついたのは、あたしの大好きな香りをその人が纏っていたから。



「いらっしゃいませ。」



語尾が跳ね上がってしまって、恥ずかしい。



「いらっしゃい、ました。」



ぐーぱーぐーぱ。



そんな独特の、手の振り方をしながらレジ前に立ったあらたと、見つめ合う。





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