ムボウビハート


 強がって、ぶつかるようにした、キス。



「やればできんじゃん?」



くちびるの端で笑って、あたしの頭を撫でたあらた。



「寝るぞほら、おやすみ。」


そのまま、あたしを腕の中に包み込んで、静かな寝息を立て始めた、あらた。


リアルに残る指先の感触に、ドキドキがなかなか治まらなかったあたし。


思い出したら、独りで恥ずかしくなる。


相変わらず、くちびるガサガサだし。


起こす前に、リップクリームを塗ってしまおうと近づけば。



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