ムボウビハート
「なぁーに、する気だ?」
目を開けたあらたが、リップクリームを持つ、あたしの右手を掴んだ。
「…あ、えと…、おはよーあらた。」
苦し紛れに、掴まれていない方の左手で、ぐーぱーぐーぱー、あらたに手を振ってみる。
「だから、ベタベタするから、キライなんだよ。」
寝起きの気怠さと、少し舌足らずな口調に加えて、くちびるが拗ねたように尖っているあらたは、小さな子どものようで、愛おしい。
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