ムボウビハート



 「さーんきゅ。」



言いながら、あらたが口を近づけたのは、あたしのくちびる。



「ついてんぞ?赤。」



あたしのくちびるをぺろりと舐めて、笑うあらたのくちびる。



その妖艶さに思わず、見とれれば。



「どした?あんず。ほら、来い。」



あたしに両手を広げてくれた。



思い切りその胸に再度、抱きつけば、弾みで落下したりんごあめ。



床の上で、粉々に散らばった、透明な赤。



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