ムボウビハート



 しっかし、「ハラワタ煮えくり返る」なんて、素直で可愛らしい表現に、思わず笑みがこぼれた。


「あんず。俺を、見ろ。」


いつものように、一言ずつ区切れば、観念したように顔を上げたあんず。


「あんず。いいか。よく、聞いとけよ?俺は、あんずだけが、大切だ。」


一言ずつに想いを乗せれば。


「そんなこと言うなんて、あらたらしくない!あらたのバカ~!!でも、大好き~!!」


泣き笑いの顔で俺に抱きついてくる。


「許して、くれる?」


俺の腕の中から、上目遣いで囁かれて、思わずOKしてしまいそうになって、直前で思いとどまった。


そんな可愛い顔されて、我慢できるかよ、バカ。


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