愛を教えて欲しくない

期待



生暖かい風を頬に感じて、目を開けたのはもうすっかり辺りが薄暗くなった頃だった。

「え」

眠りに落ちたつもりなんてなかった私は寝すぎて重たい体に野次を飛ばして、膝掛けに置いてあった携帯を手に取った。


時刻は午後5時10分。なんてことだ。朝ごはんを食べ終えたのが大体7時半だったから、私は10時間近く眠っていたことになる。

さすがに寝すぎた、と後悔の念に駆られたけど引っ越してきてから、精々寝られても4時間程度だったからそう考えたらある意味よかったのかもしれない。

とりあえずソファに沈みきった腰を上げて、立ち上がった。

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