何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

「ヘックション!!」

月斗が急に大きなくしゃみをした。
さすがの月斗も、この頃の寒さには、耐えがたいものがあった。
もちろんここに毛布など、暖をとるものは一切ない。

「…聞いてるの?」

かずさは、まったく興味を示さない月斗に、思わずそんな言葉を投げかけた。

「どーでもいいけど。」

彼女の告白を聞いても、月斗の態度は一切変わらない。

「…そうね。どーでもいいわ。この国の未来も他人の未来も…。」
「あっそ。」

かずさが投げやりに吐いた言葉にも、月斗はやっぱりそっけなく答えるだけ。


「…あなたもうすぐ死ぬわよ。」


そして、かずさがまた小さくポツリとつぶやいた。

「へー。それが予言ってやつ?」

月斗は少しだけ興味を持ったのか、かずさのその言葉には反応を示した。

「…ええ。」
「ハハハハ!」

すると、突然月斗が声を上げて笑い出した。

「…何がおかしいの?」

かずさは、彼の背をただ見下ろし、眉をひそめた。

「んなもん変えてやるよ。俺の未来は俺のもんだからな。」
「…。」

カツカツ
そして、かずさは黙ってその場を去った。
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