何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「もう終わりにしようや。かずさ。」

りんは、もう一度かずさの方を見た。

全ては国の仕業。
それはもう、わかりきった事…。
こんな事ばかり続けていても、何の意味もないのだから。

「…誰のせい…?」

かずさがポツリとつぶやいた。
その言葉は、一体誰に向けた言葉なんだろうか…?

「え?」

しかし、りんにはその意味がわからず、眉間にしわを寄せた。

「プハー。」

月斗は尚も、おいしそうにたばこを堪能していた。
まるで、自分には関係ないとでも言いたいかのように…。

「それでも妃になる?」

かずさが、いつもとなんら変わらない抑揚のない声で、彼女に問いかける。

「憎い…?誰が?」

彼女の答えを待つ事はせずに、かずさは問う事をやめない。

「全て知りたければ石を見つければいい…。だってこれは始めから石取りレース。」

かずさの冷酷な声が、彼女を徐々に追い詰めていく。
それは、まるで、徐々に身体へと回っていく毒のように…。

「…。」

しかし、彼女は未だ下を向いたまま、微動だにしない。

「あなたがここへ来た理由は石を探すため…。ただそれだけ。」

かずさがとどめの一言を言い放った。

「…。」

その言葉は彼女に届いているのか、いないのか…。

< 19 / 287 >

この作品をシェア

pagetop