何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
次の日
カツカツ
その廊下には、一歩また一歩と進む靴音が響き渡る。
そして、その牢屋の前で止まった。
「月斗。お前の処分が決まった。」
月斗は冷たい床に転がり黙ったまま、うんともすんとも言わない。
「死刑だ。」
「アハハハハハ!!」
その言葉を聞き、突然笑い出した月斗の声が、その冷たい廊下に響き渡った。
「最後に何か望みはあるか?できる事であれば、その望みに答えよう。」
兵士は、そんな月斗の行動に感情を動かす事はなく、淡々と月斗に尋ねた。
「…ああ。あるよ。」
月斗が笑いを止め、低い声で答えた。