揺るぎのない愛と届かない気持ち

出産 〜紗英

私は美しい景色の中に立っていた。
向こうに見える
眩しい光の扉へは行きたくとも、
足が動かない。

無音の景色の中で、じっとただじっと
立っているだけだった。

もう、辛いのはいや。。。
でも
ここにいても私は何かを忘れているような
大事な何かを。

あの光の扉から、何かが聞こえる。

『紗英ちゃん』

『紗英』

『しゃぁちゃん』

それぞれの呼び方。
母であり父であり弟からの呼び声。。。

あの人は。。。

東吾さんはいないの。

『おんぎゃぁ!』

耳をつんざくような鳴き声。
何?
何が泣いているの?

赤ちゃん、、、
赤ちゃん、、、

私の子!!



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