揺るぎのない愛と届かない気持ち

東吾への想い 〜紗英

退院をして実家に戻ってきて、
本当に至れり尽くせりの日々を送らせてもらっている。

慣れない育児にも、
両親や弟の慶まで手伝ってくれて
感謝しかなかった。

足りないのは悠の父親だ、

本音を言えば、今はまだ会いたくない。
でも
会わずには先に進めない。

私は東吾を愛していたのだろうか。
どうして結婚しようと思ったのだろうか。

今更ながらに
自分たちのスタート地点に戻ってしまう。

「東吾さん、ナイス ルッキング ガイでさ、
モテると思うけど
どこか幼くて、
しゃぁちゃんの手の平で転がされいるって感じだよね、」

慶は失礼なことを、私に面と向かって言っている。

東吾の優しさは私の家族はみんな
、認識しているが、
優しいだけの夫なんて
、、、、
どうだろう。

東吾はいつも私の意思を尊重してくれて、
私に負担をかけないように、考えてくれていた。
結婚しても仕事を続ける私のために
家事の負担も当たり前のように、
率先してしてくれた。

ただ
そこに長内さんが絡むと、
東吾の優先順位は彼女に持っていかれる。

友達思いの優しい人だ。

友達と飲みに行ったり、
食事に行ったりすることを、
私は邪魔したくない。

私が自分の友達と会ったりすることに、
東吾も何も言わない。
むしろ
「友達は大事に。」
と言ってくれている。

何で長内さん。。。

彼女が元カノだと知っている。
一番仲が良い同期だし、
親友だと東吾は言っているが。

あのビアガーデンであった元カノとは違う、
長内さんへの対応に
私は二人を理解できないでいた。

あの二人の距離の近さに。

あまり、
聞き分けが悪いことも言いたくなかったが、
思わず不満を言うと、
「友達だから、、、」
と済ませられてしまう。

私と付き合って結婚したことによって、
随分と、長内さんと出かけることは
少なくなったと言っていたが、
彼女はずっと私と東吾の間に立ちはだかる、
黒い影だった。

それは
結婚式の彼女の話から、
東吾さんへの未練を知ってしまったから。

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