私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
月の綺麗な夜だった。
「気分はどう?菜々美。送って行くから。」
「ありがとう。」
病院を出てから、二人はずっと手を繋いでいる。
「今日、俺は脇坂さんの深い愛情を感じたよ。」
「お祖母様への、想いでしょ。」
「それと、亡くなったきみのお父さんやお母さんへも…。」
「そうね。」
「結局、あの人が全部仕組んでたんだな。」
「お祖父様…策士ですもの。」
ふと、夜空を見上げて奏佑が呟いた。
「ああ、月が綺麗だ。あの日も月が…。」
奏佑が言った『あの日』がいつか、菜々美にもわかった。彼女が告白した日だ。
「お月様を見ていたら、どうしてもあなたに言わなくちゃって思ったの。」
「随分遠回りさせてごめん。」
「いいえ…この10年、無駄だったとは思えない。」
「そうか?」
「私達がお互いを理解するのに必要な時間だったのよ、きっと。」
二人して、夜空を見上げた。10年前と変わらない空を。
12月の夜空はキンと冷えているからか、都会でもいつもより美しく見える。
「菜々美、俺の仕事は忙しいし不規則だ。クリスマスや誕生日だからって、
その日、君の側にいてやれるかどうかわからない。それでもいいか?」
「気にしないで。無理に記念日だからって約束しなくていいの。
あなたが一緒にいてくれる日を大切にすればいんだし。」
「ありがとう。」
「これから、いっぱいお話しましょうね。」
「そうだな。子供が生まれたら、その子も一緒に。」
「待ち遠しいわ…。」
「菜々美。」
繋いだ手に、奏佑は力を込めた。
もう、二度と離さない。
このままずっと、年を重ねても二人で手を繋いだまま歩いて行くのだ。


