激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
案内されて、浜辺から潜水艦まで小橋を渡っていく。
軽いパニックで無口になってしまったけど、今何が起こってるの?
たまたま見目麗しい男性が隣で食事をしていて、ちょっとしたきっかけで潜水艦に乗せて貰えて?
彼は何者なんだ。ホテル側が一目置く相手って何者。
シャトルボートに乗って潜水艦が浮かんでいる場所まで行く間、状況の整理が出来ずにずっと腕を組んで考えても答えは出てこなかった。
「さあ、降りてください」
「えっ」
スタッフに案内された潜水艦は、中に入るには梯子を下りなくてはいけなかった。
ワンピースで来た私は、降りたら下の人に見たくもないだろうけど丸見えだ。
数人まだ降りていなかったので、見渡すけど、カップルは男性が先に降りて守ってくれている。
呆然としていると、先ほどの彼が私にタオルをくれた。
「これで腰を覆うといいよ。俺のあとに続いて降りて」
彼が下りるので、腰にタオルを巻いて急いで降りた。
風になびくのは阻止されたし、彼は決して上を向かなかった。
けど、なんだかタオルも踏まえて、女性の扱いが慣れていないか。
外国の男性からしたら女性に親切にするのは当たり前なのかな。
それともこの人がただ女性慣れしているだけなのかな。
分からなくて、降りた後タオルを彼に返そうとしたけど、微笑まれるだけだった。
「急に仕事で、バカンスで来たわけでもなくて困ってたんだ。付き合ってよ」
「えーーと、潜水艦代渡したら、帰ります」
パンフレットを広げて値段を確認しようと思ったのに、パンフレットを奪われてしまった。
「宇柳 聖。ワイキキにある結婚式場までビジネスでやってきて、今は帰るまでの煩わしい接待から逃げてきたところ。君も退屈そうだったから俺に付き合ってよ」
か。
軽い。
軽すぎる口説き文句に顎が割れるかと思った。
つまり本気でナンパしてるわけではなく、日本に帰国するまでの時間つぶしに声をかけてきたと。私が暇そうで、ね。
なんだか腹が立って、この空気をぶち壊したくなった。
「私に声をかけるのは、遊び慣れているあなたにしては浅はかすぎましたね」