激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
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「えっ予約制なんですか」
逃げるように浜辺に向かい、潜水艦に乗ろうとスタッフに話しかけたら首を振られた。
ホテルのビーチだったのでホテルの利用客は気軽に乗れると思っていたけど、ロビーでの予約制だったようだ。結構浜辺まで歩いてきたのに、無駄足になってしまった。
「ちなみにホテルの利用客以外も予約の電話来てるので、今週中はもう無理じゃないかな」
アロハシャツのスタッフは、流暢な日本語で残酷なことを教えてくれた。
このホテルの目玉の一つだったのに。ハワイの美しい海を潜って、亀を見るとか楽しみだったのに残念だ。
その代わり、ロビーでプロジェクターを借りられるので映画が見れるらしい。引きこもりたかった私にはぴったりだったので、ロビーへ踵を返そうとした。
「俺と一緒でも無理?」
先ほどの男性が、涼し気なアロハシャツに着替えて、立っている。
食事も途中だったのに、早いお出ましだ。アロハシャツを着てもぎらつかないあたり、見目麗しい人は得だと思う。
彼はスタッフに首を傾げて微笑むと、スタッフも苦笑していた。
「困ったな。貴方は最大に持て成すように言われている」
スタッフが急いでスマホで連絡を取っているので、私は近づいてくる彼を見上げた。
長身の彼は見上げないといけない。彼は私に微笑むとビーチの販売店へ行ってしまった。タオルや浮き輪など、ホテルの部屋キーを見せれば無料で貸し出ししてくれるところだ。そこで彼はタオルをレンタルすると戻ってきた。
彼が戻ってくるのと同時に、スタッフが「用意できるようなので、どうぞ」と私と彼を案内してくれた。
「さっきのネクタイのお礼に」
「……どうも」