激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「プライベートは見せませんよ」
ふん。勘が良い男は嫌いだよ。と、魔女みたいな悪態を付きたくなってしまったが、危ない。
最近、気を緩めたつもりはなくてもどうしても言葉や行動の端々で疑われてしまう。
隠したいわけじゃなくて、私だってまだ自分の気持ちと上手く向き合えていないから邪魔しないでほしい、が正解なのかもしれない。
***
翌日の打ち合わせも、滞りなく終わった。
けれど社長は私と宇柳さんについて勘ぐっているので、始終にこやかで居心地が悪かった。
当初は彼が私を助けてくれた形だけど、今は本当に恋人なので、私も顔に出てしまいそうで怖い。
「……早くこの仕事、終わればいいのに」
エレベーターに乗った瞬間、壁に額を打ち付けながら、死ぬそうに震えている心臓を落ち着かせる。
「恋人だと内緒だと、スリルがあるな」
思わず頭を打ち付けそうになったけれどギリギリ避けて顔を上げる。
すると、宇柳さんは眉を顰めて首を傾げた。
「なんだ。やはり体だけ満たされればいいとか言うなよ」
「いや、まだその言葉に照れしなかいので」
ボンっと頭がショートして顔が熱くなる。
確かに身体は繋げてしまったけれど、確かに香りは極上なんだけど。
身体から繋げてしまった関係上、好きになってしまった今、色々と恥ずかしいのだ。
「付き合ってください、と言ったほうが良かったか? 順番が前後してるが、仕方ない。俺と――」