激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「ほら、着きましたよ。ロビーには人が一杯いますので!」
驚いてエレベーターから飛び出してしまった。
「まあムードのない場所で言われても嫌だろうな。あとで迎えに来るときにでも」
「……お気をつけて」
「逃げられると思うなよ」
かみ合わない会話の中で、何故か一人、宇柳さんは勝ち誇った顔で車に乗り込むと颯爽と帰っていった。
でも、大切にされてるのは分かるの。こう、輪郭も溶けてぐずぐずに甘く蕩けていくような、なんか幸せで甘酸っぱくて。好きが好きだという気持ちなのも自覚している。
ただ、今度こそ宇柳さんに裏切られたら立ち直れない。
一人で生きて行けるように、少し距離を取りたい気持ちもある。
信用したいのに、怖い。
本人に伝えてもきっと困らせるだけだから、私自身が解決しないといけない悩みだった。