激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす


土曜日。

私は自主出勤。宇柳さんの会社との取引のおかげで海外の、ずっと頼んでみたかった香料が沢山届いていたので、工房に移動して使ってみたかったから。

本当ならばマンション探しが優先なのはわかっているけど、宇柳さんも今日は会議があるとかで忙しい今、研究に没頭したい方が勝ってしまった。

今のところ、身勝手な不安はあるものの順調だ。

キャンドルナイトには、モップと三人でディナーをしてから見に行く予定だった。
ペット可のレストランで、モップのご飯も用意してもらっている。なのでお互い、仕事を片付けてから駅で待ち合わせする予定だった。

「ああ、こっちの匂いすっごいきついけど、薄く使ったら爽やかよね。パイナップル! あとはハーブ、ローズ、ねえ。高級品のこっちも」 

一人で香りを堪能しようとしていたのに、白衣の胸ポケットにいれていた携帯が鳴った。

『美優?』
「どうしました?」

『言いにくいんだが、実家に忘れ物をしたんだ。もし時間があれば取ってきてほしいんだけれど』
「いいですよ。私は香料の整理だけなのでこれから切り上げます」
『本当にすまない。しかもゴミ箱に突っ込んだ、封も開けていない書類なんだ。秘書が近くの駅まで行くので頼めるか?』
「……ぷぷ。了解。時間が決まったら言ってください」
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