激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

 おーい。

 みどりちゃんが家出しているのに何をしているのと、思わず窓から下の車庫を覗くと、本当に何度も車が車庫にバッグで入ったり出たりしていた。

「今度のギタリスト、聖くん的にはどう? 怪しい?」

「みどりも会ってやりなさい。……姉さんはその人の地位や年齢気にせず一目ぼれしてしまうのが短所と思ったが意外と良い人だった」

 聖さんが肩の荷が下りたような、心から安堵した様子に私も目をパチパチした。
「世界的に有名なギタリストで、隠居の為に日本に戻ってきたらしい。身辺調査なんて必要ないぐらい、良い人だよ」

彼女の大きな目が見開くのが私からも見えた。

「何度も電話をくれたのに忙しくててごめんな」

聖さんの言葉に、うつむくと首をぶんぶんと降る

「俺は仕事が終わると、大切な人との時間を優先してしまうんで電話には出られなかったんだよ」
「聖さっ」

「さすが聖くん。素敵ね。お姉ちゃんを大切にしてね」
 聖さんの馬鹿。
 そう思ったけれど、もう何も言えなくて、みどりちゃんの本音を想えば言えないので黙るしかなかった。
笑顔の彼女は、テーブルの下で自分のスカートを掴む手を睨みながら、身体を震わせてそう聞く。

「もちろん。俺の大切な人だ」

好きな人の前で緊張して話せなくて、真っ赤になって言葉がでてこない。
「みどりー。ごめんね、不安にさせちゃったね」

 階段を上る音が聞こえてきた。お姉さんがやってきたんだろう。
「……みどりちゃん、行こう?」
手を差し出したら、こくんと頷いて立ち上がってくれた。
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