白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 こんなとき、普通の女性は待ってるものなのだろうか。
 いや、なにもせずシャワー浴び終わるのを『待ってる』って、やけに意味深じゃないか……?

 慌ててテレビをつけてみる。バラエティー番組にしてみたが、全く内容が頭に入ってこない。

(なんでこんなに緊張しているんだろう……!)

 悶々と考えていると、琥白さんは上半身裸のままバスタオルで頭を拭きながら出てきた。
 裸の胸板が目に入って、どぎまぎして目をそらす。

「ふたば?」
「ふぁっ!」
「なにやってんだ」
「いや……! それより、上、何か着てくださいよ!」
「え? あ、あぁ、すまない……」

 そう言って琥白さんは困ったように頭を掻く。
 そのあと、じっと私を見て、何かを思いついたようにニヤリと笑った。

「ふたば、今更何照れてるんだ」
「今更って! こ、琥白さん、私に触る時、いつも脱いだりしないじゃないですかっ」

 そう言ってから、自分がものすごく恥ずかしいことを言っていることに気づいた。

「いまのなし!」
「男の裸の上半身、見るのも初めてか」
「み、見たことくらいありますよ!」
「……へぇ、どこで」

 琥白さんの目の奥がギラリと光る。

(……あれ、琥白さん、何か怒ってる?)
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