白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 確かに、兄はそういう部分は気を使って、妹にも上半身裸を見せるような人間ではなかった。
 しかし、普通に生活していれば男性の上半身くらい見たことあるはずだ。

 色々と思い出そうとするが、琥白さんが近すぎて、頭が回らない。
 いい匂いがするし、大人の色気が半端ない。

 すでに混乱しているのに、琥白さんはそのままスルリと私の頬を撫で、さらに私を混乱の中に陥れた。

「も、もう、勘弁してくださいっ!」

(琥白さん、男の人のクセに色気がありすぎる!)

 私が泣きそうになっているというのに、琥白さんはさらに近づいてくる。抱きしめられそうになって、私は手を伸ばして琥白さんを押した。

 しかし、手が裸の胸板に当たって、私は泣きそうになって手を離す。

(なにやってんだぁぁぁあああ! 私はっ!)

「あ、あああああれ! 今、あれで見ました!」

 思わずついていたテレビを指さす。
 男性タレントが上半身裸で、スポーツに挑んでいるところだった。

「ぶっ……」

 琥白さんはそれをきょとんと見た後、堪らないといった様子で吹き出す。そしてゲラゲラ笑いだした。
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