白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「なんですかっ」
「普通、水泳の授業とかだろ。どれだけ焦ってるんだ」

 琥白さんはやけに楽しそうに笑い続けると言う。

(そう言えばそうか……)

 それに気付くと、さらなる恥ずかしさが自分を襲ってきた。

「だ、だってぇ……!」

 琥白さんがやけに近づいてくるから! 焦って、混乱しただけだ。
 色気がスゴイ。それに琥白さんの香りを嗅いでいると、やけに頭がぼんやりして、くらくらして、訳がわからなくなるのだ。

「それでも、ふたばの目に他の男が映ったと思うと、俺は嫉妬してしまうがな」

 琥白さんはそう言うと、リモコンでテレビの画面を切る。

「え……?」
「これまでも、これからも、俺だけを見てろ」

 強く抱きしめられて、琥白さんが耳元で囁く。
 その低い声に、私はまた頭がクラリとした。
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