白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 思わず小さく微笑んだ時、不意に、ふたばさん、と自分の名を呼ばれて顔を上げた。
 そして、私は驚きのあまり口を半開きにさせて、椅子からずり落ちそうになる。

「こ、琥白さん……? どうして……!?」

 そう。そこにいたのは、私の婚約者である壇田琥白だったのだ。

 185cmの高身長に、艶々の短い黒髪、切長の目に高い鼻と形の良い唇が並ぶ。完璧に近いルックスに似合ったダークグレーのスーツを身に纏い、当たり前のようにそこに立っていたのだ。
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