白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 空港に着いて、琥白さんが持っていてくれた私の荷物を受け取ろうとすると、琥白さんは私の荷物を手放そうとしなかった。

 少々ムッとしたものの、私はそんなことなど気にしていないように装って、微笑んで口を開く。

「琥白さん、ありがとうございました。私はここで失礼しますから私の荷物はいただきますね。またご連絡します」

 なのに琥白さんは首を傾げると、
「何をおっしゃっているのですか?」と言ったのだった。
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