白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「え?」
「今日から、帰る場所も一緒でしょう」

「……琥白さんこそ、何をおっしゃっているんですか?」

 言葉の内容のわけのわからなさに、思わず眉を寄せて低い声が出てしまう。
 唇を拭っているところを見られてから今日まで、少し琥白さんに遠慮しなくなっている気がした。

 すると琥白さんは言う。

「天橋社長から了承いただいているので、伝わっていると思っていたのですが」
「それはどういうことですか」
「入籍前の一か月、同棲するというお話です」

「はぁ?」

 思わず情けない声が出た。
 入籍前の一か月と言うと、もう今日からだ。

(今日から同棲するってこと? 全く聞いてない!)
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