白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 逸らしていた目線を琥白さんにそっと戻す。

 すると、思っていたのとは全く違う、怒りをはらんだような琥白さんの目に捉えられた。

(……なんなの? その目。怒りたいの、こっちなのに)

「思い出せよ。いつでも、何度でも……。それで……」

 琥白さんはそう言うと、顔を近づけくる。

(またキスされる!)

 そう思ったけどキスはされず、琥白さんは私を抱きしめた。
 琥白さんの腕にこもる痛いくらいの力に、戸惑って固まる。

「こ、琥白……さん?」
「ふたば。ちゃんと俺の事、好きになれ」

 低い声で呟いた琥白さんの声が、言葉が、いつもの琥白さんとは全く違って……。

 でも、私は何故か、それが本当の琥白さんの声ではないかと、そんなことを思っていた。
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