白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 どちらにしてもやっぱり負けたみたいで、私は唇を尖らせる。

 そしてふと、時計を見た。
 6時か。琥白さん、一体何時から起きてるのよ。じいさんか。

(って、6時……?)

「わっ……今日の会議早いんだった! あと30分で出なきゃ!」

 何故かすっかり忘れていたけど、今日は6時半にはでないとまずいのだ! 私は朝の準備は早い方ではないし、このままだと間に合わない。

 少し遅れそうだと連絡したいところだが、それも嫌だ。これまで私は『どんな小さな仕事でも絶対に失敗しない』という事だけには気を使ってやってきた。

 それは叔父さんがああいった性格をしているからでもあった。
 小さな綻びだって、色々と言われるのが分かっていたから……。

(なのに、なんで……? 気が緩んでたの?)
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